キリンリキのしっぽのアレが考える

キリンリキのしっぽのアレが考える

ようこそ! キリンリキのしっぽには小さな脳がありますが、そんな不思議なしっぽが一生懸命に何かを考えている…そのような眼差しで見て頂ければ幸いです

蟲師(2005) 

皆さんはアニメ作品の中で何が好きですか?

最も好きなアニメは?と問われたら悩んでしまいますよね。

 

世界中には素晴らしいアニメがたくさんありますし、

私は現存する全てのアニメ作品を観たわけではありませんが

 

そのような中でも1番好きなアニメは?と言われたら

蟲師 と答えるでしょう。

 

今回は蟲師を紹介すると共に、私のお気に入りの作中2話もご紹介します。

(※まだ観てない方はネタバレ注意です)

 

 

 

蟲師 (アートランド 2005)

長濵博史監督

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©漆原友紀/講談社・「蟲師」制作委員会 http://www.mushishi.jp

マーベラスエンターテイメント

※主人公のギンコと蟲師において重要となる光脈筋

 

漆原友紀先生の同名漫画をアニメ化した作品です。

特徴として原作通りにアニメ化し、アニメオリジナル回などは皆無です。

 

制作フタッフたちに愛されている作品でもあり、監督・声優インタビューや

関連スタッフたちの熱意が伝わってきます。

 

1話完結構成で、BGMも1話ごとに変化します。

1話ごとの完成度が非常に高いことも特徴です。

 

 

世界観と蟲たち

蟲師の世界観は、鎖国前の日本がイメージされており、登場人物は着物を身に着けています。その中で主人公であるギンコは、白髪に緑の目、シャツにズボン姿で蟲師の世界では変わっている存在です。

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※主人公の蟲師ギンコ このミスマッチが素晴らしい!

蟲師に登場する「蟲」は、私たちが見慣れた動植物、昆虫や爬虫類などと一線を画す生命で、生命そのものに近い存在です。

なので、見える者と見えない者とに分かれます。

 

中には動物や人間に寄生し、生命の生活に支障を来たす蟲も存在します。

幽霊の仕業のような現象でも、調べてみれば蟲が原因だったなど、蟲師の世界ではそういった問題を解決するためのプロフェッショナルとして蟲師の職業がある訳です。

 

 

ここで蟲たちについて少し紹介すると

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※「雨がくる虹がたつ」より

自然現象そのものに近しい蟲で通称ナガレモノとも言う。

ナガレモノの多くは触れた人間に取り憑き、常識を超越した影響を及ぼします。

 

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※「枕小路」より 夢野間の群れ

寄生した宿主の夢の中に住み、夢を現実にしてしまう蟲。

 

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※「眼福眼禍」より 幻の蟲「眼福」 

人間の眼球に寄生し、人間が想像する範囲を超えたものや、生命の未来までが見えるようになる。

 

このように蟲にも様々なタイプが登場します。

未だに解明されていない禁種の蟲も存在し、身体に禁種の蟲を封じて世代を超えて対処している蟲師もいます。

 

 

 

お気に入りの話

露を吸う群れ

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©漆原友紀/講談社・「蟲師」制作委員会 http://www.mushishi.jp

マーベラスエンターテイメント

 

貧相な土地の孤島に「生神」を信仰する当主が島を収めています。

この島は潮の流れが速く、大潮の少しの時間しか船が出せません。

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島民のナギ 友人であるアコヤを助けたくて蟲師のギンコを島に連れてくる。

島民とは村八分状態

 

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当主の娘アコヤ 生神信仰に利用されている

生神信仰とは一日で身体が老朽化して、また元通りになる奇跡のことです。

島民にはそのような生神状態の人間が数人存在します。

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※次第に老人になって死を迎える そして元に戻るを繰り返す

毎日奇跡が起こるので、島民は少ない収穫物を当主に貢いでいる

 

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※生神となった娘を利用する当主

 

ギンコが調査した所によると、人間だけでなく周辺に生息する動物も、アコヤなどと同じ症状になっていることが分かりました。

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原因は、大潮の時だけ入れる洞窟に生息するヒルガオに似た花でした。

この花を吸うと生命はその蟲の時間で生きることになります。

蟲の寿命はおよそ1日で、アコヤを含めた生神たちは、蟲の一生を毎日味わっていました。

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※鼻腔で親が死んで新たな子を産んだ蟲

 

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ギンコが針で眉間を指すと

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このように姿を現します。 これでアコヤも元通りです。

 

しかし、元通りになったはずのアコヤは終始元気がありません。

ギンコがその理由を問うと

「生神の時は毎日が新鮮で何かを考えるにも追いつかなくて…」

「今はあてどない膨大な時間に足をすくむ」 と言います。

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ギンコはアコヤがあの蟲の一生を毎日体験していたと言います。

 

寄生した動物と体内時計を同調させる蟲

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生神でいた時にアコヤが見ていた世界は、人間の時と比ではない位に美しく、生きている実感がありました。

人間でいることよりも、生神でいた時の方が幸せを感じていたのです。

 

アコヤの症状は治り、ついに島民は生神の正体を知ることになりますが、

ギンコとナギを殺そうとしていた当主に対して

ギンコが「蟲を悪用した者は破滅する」

と言うように

 

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怒り狂った島民によって当主は殺されてしまいます。

どんなに利用されていたと分かっていても、父親が好きだったアコヤは自分のせいで父親を殺してしまったと悟ります。

そして…

 

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また花を吸ってしまいます。

今度は非常に強く寄生されてしまい、ギンコでも治療は不可能となりました。

ナギが「どうして…どうして!」と問うと

「あっちなら生きていけるの…」とアコヤは再び生神に戻るのでした。

 

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その後、船が出せるまでの間、ギンコは島民の生神たちを全て治療します。

しかし…

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治療をしても生神に戻ってしまう人間が後を絶ちません。

 

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ナギは島民がこれからも花を吸い続けること、大切な人がもう人間に戻らないことを無念に思い、生きる目的を見失います。

「これから何を糧にすれば良いか分からない」

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※幸せそうなアコヤを見つめるナギ

そんなナギに「普通に生きればいい。時間が掛かっても皆で岩を崩れば船が出せるようになる」

「容易なことではないが、お前の目の前には果てしない膨大な時間が流れているんだからな」

とギンコは答えるのでした。

 

 

この話を観るたびに切なくてどうしようもなくなってしまいます。

人間でいた時よりも生神のほうが幸せだと感じるアコヤと島民たちの姿は非常に悲しかったですね。

私は現実の人間社会でも、露を吸う群れと同じように感じている方は多いと思うのです。毎日のように会社に行って、何十年と仕事をしなければならないプレッシャーがありますよね。帰宅して寝るだけの生活から逃げ出したい、最悪の場合は死を選ぶ方も残念ながらいます。

毎日苦しんで必死に生きることの意味を考えてしまい、もしあの花が存在したならば、喜んで吸う方は多いのではないでしょうか。

 

私も吸ってしまいそうですが、ギンコの「普通に生きればいい」というシンプルな言葉に救われました。

救いのない話のようですが、人間誰しもが考える「膨大な時間に足がすくむ」ことに対しての答えや生きるヒントが隠されていると思います。

BGMも素晴らしい話で、優しい光が差すように希望も感じましたね。

 

 

 

 

天辺の糸

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©漆原友紀/講談社・「蟲師」制作委員会 http://www.mushishi.jp

マーベラスエンターテイメント

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星を見ることが好きな清志朗

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清志郎の妹の世話で奉公に来ている吹

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ある日吹は空から垂れている不思議な糸を引っ張り空の高見へと消えてしまいます。

それを見ていた清志朗は、周辺を隈なく探しますが、どうしても吹は見つかりません。妹の子守りに疲れて逃げ出したと判断した父親や村人たちは、不思議な糸について話す清志朗に聞く耳を持ちません。

 

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それからしばらくして、蟲師のギンコが山中を歩いていると、木の上で人間が引っかかって異常な光景を目にします。

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蟲の気を帯びている人間を助けると、吹の記憶は無くなっており、どこから来たのかさえ分からない状態になっていました。

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何とか薬を調合して吹に飲ませますが…

 

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それから薬の効果もあり、記憶を取り戻した吹ですが、村に戻るともう別の人を雇ったと村人はいいます。

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ならば吹を嫁として向かい入れたいと申し出る清志朗に吹は了承します。

 

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しかし、父親は頑なに吹のことを受け入れようとしません。

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清志朗は蟲師であるギンコにあの不思議な糸のことを話します。

ギンコにおると空に住む蟲で、空中のエサが少なくなると地上へと糸を垂らして獲物を捕らえる

しかし、人間などを間違って飲み込む場合があり、その時に空中で放りだされるので、大抵の人間は助からない怖い蟲でもあります。

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※通称迷い星とも言われる蟲 吹は蟲が見える体質で清志朗が星を観察する時にいつも見ていた。

吹は深く飲み込まれたせいか、蟲の気を強く帯びてしまい、この世界に存在したいと思えなければ、また消えてしまうことになるとギンコが警告します。

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いつの日か祝言を上げることを誓った吹と清志朗がお世話になったギンコをお見送り

しかし、すぐに吹が姿を消したことを告げる文がギンコに届きます。

 

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ギンコが去ってから、父親に説得しますが一向に承諾は得られず、吹の居場所がなくなっていく

ギンコの言う通りに清志朗も気を使いますが、吹の身体は頻繁に宙に舞うことが止められません。そして吹の気持ちを考えない行動もとってしまいます。

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ギンコが着いた時には、清志朗の前から吹は消えてしまいました。

しかし、吹は清志郎に見えなくても、この場所に存在していることをギンコから告げられます。

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※清志朗に見えなくて吹は存在している

見えない吹とどうすれば良いか苦しむ清志朗にギンコは

「吹をこの世界にいたいと思わせられるのは、お前しかいないんだ」

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吹は以前「明るい時に星はどこにいってしまうのだろう」

という問いに清志朗は「どこにもいったりしない。明るいから見えないだけ」

「ちゃんとそこにある」という会話を思い出します。

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清志朗は姿が見えない吹がまるで存在するように行動し始めます。

花嫁がいないことにもかかわらず話続ける姿に村人は、とうとう清志朗まで可笑しくなったと思いました。

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※その光景を見守るギンコ

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くる日も来る日も誰もいないのに話をする清志朗に、やがて村人は一人も近寄らなくなりました。

 

 

やがて時は過ぎ…

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※2人で幸せそうに暮らす清志朗と吹

村人たちは幸せそうに暮らす清志朗と吹の姿を目撃するようになりました。

 

 

 

この話は蟲師の物語で重要な要素が詰まっていると思います。

私が蟲師が好きな理由と、何故多くのアニメ作品を見るのかという理由も存在する話です。

蟲師とは見える者と見えない者があり、表面的な事柄より内面を見ることが大切になるからです。

見えないものを見ようとすることは難しいですが、見えないものを思って見ようとする努力は出来ますよね。

蟲師は、そういった見えない事柄から物語を描くことに長けている作品だと感じますし、それは私たちが生きる社会でも大切なことではないでしょうか。

清志郎が見えない吹に対して行った行動は素晴らしいですよね。なかなか出来る行動ではありませんし、最後に清志郎と吹が報われる展開も感動します。

そういった要素の作品はあまり存在せず、蟲師は希少な作品だと私は考えています。

  

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