キリンリキのしっぽのアレが考える

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ようこそ! キリンリキのしっぽには小さな脳がありますが、そんな不思議なしっぽが一生懸命に何かを考えている…そのような眼差しで見て頂ければ幸いです

キノの旅(2003) アニメレビュー

 

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©時雨沢恵一メディアワークス/「キノの旅」制作委員会

(ポニーキャニオン/メディアワークス/ADS films/キャラアニ/ジェンコ)

キノの旅 人間キノと言葉を喋れるモトラドエルメス

 

キノの旅は、時雨沢恵一先生のライトノベル作品で、電撃文庫ライトノベルというジャンルを超えて幅広い世代のファンがいる名作ですね。

物語は、様々な国を人間のキノと言葉を喋るモトラドエルメスが旅をします。訪れる国は色んな文化・宗教・ルールが存在し、時には平気で命を狙われたり、過激な事柄を当たり前のように受け入れる国があります。

 

2017年には最新アニメも放送される予定ですが、今回レビューと紹介をしたいのは、世間であまり評価が良くない中村隆太郎監督版の「キノの旅」です。

 

私の個人的な意見として、中村隆太郎監督版のキノの旅はアニメの歴史においても傑作の部類に入る作品だと強く思います。絵本のような独特の雰囲気が存在するアニメでは、音楽の使い方やキノが訪れる国が丁寧に描写され、声優さんたちの素朴な演技もマッチしていました。

 

中村隆太郎監督が作る作品は、決して万人受けする作品が多い訳ではありません。例えば1998年に「serial experiments lain」を制作しました。

serial experiments lain Blu-ray BOX

約20年前とは思えないほどの映像センス、物語は難解で時代が追い付いていないという表現が当てはまる名作です。

「この作品はどんな作品なの?」と質問されると返答に悩んでしまいます。

現実世界とインターネットにおける仮想世界が混ざり合う物語と考えていますが、スマホの登場によってSNSなど普及により、ネットがより身近になっていく、またはバーチャルに理想や依存する現代を予言しているようにも思える作品ではないでしょうか。

 

 

さて、キノの旅に話を戻しますが、皆さんは

「本当の青い空」とは何だと思いますか?

なぞなぞのような質問ですが、実は原作の「差別を許さない国」アニメの「賢者の話」で出てくるフレーズなのです。

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ある国で、入国審査員に「本当の青い空は何だろう?」とキノが質問されます。するとキノは綺麗で青く澄んだ空を見上げながら…

 

原作の「差別を許さない国」はキノの旅で最も好きな話で、質問に対してのキノの考えに共感しました。

私を含めた多くの人間が「これは絶対だ!」「これが一番正しい!」と考えている事柄でも、本当にそのことが正解なのか、本当にそうなのだろうか…と世間のニュースや出来事に対して疑問を持つキッカケになった話です。

 

また、原作とアニメの第一話である「人の痛みが分かる国」を見て良い意味で非常にショックを受けました。

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入国審査は機械が全て行う国

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この国の中心地には人間が一人も存在せず全て機械が管理しています。なので、キノは格安でご馳走と豪華ホテルに泊まることができました。

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郊外にてやっと人を見つけますが、住民はキノを見ると一目散に家に逃げたり、カーテン越しに怪しそうにキノを見つめるだけです。住民同士の家と家の感覚は離れており、まるで人と接することを恐れているような雰囲気があります。

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そこで綺麗な花を育てる男性に出会い、キノはこの国は何故機械だけの街があるのか、何故人間は皆一人で過ごしているのかを質問します。

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男性は寂しそうに、そばにあったレコードの針を掛けて言いました。

「この国はね、人の痛みが分かる国なんだよ」

 

 

この物語は当時、多感な時期にあった私にとってキノの旅の世界観にスッと入ることができた話です。原作から読みましたが、「人の痛みが分かる国?」と最初は思いました。元々、キノの旅を手に取ったキッカケは、黒星紅白先生のほんわかした絵柄と「キノの旅」というフレーズから優しい感じを受けて読みました。

 

しかし、読んでみると印象がガラリと変わります。

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キノは旅人のプロフェッショナルとして「旅に大切なのは死なないこと」を意識しています。ですから毎日太陽が昇る前になると、所持するパースエイダーなどを分解して清掃し、引き金を引く練習をするのです。

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アニメではBGMと相まって、時には殺されるそうになる・殺す場合もある旅を経験したキノの本気度が伝わりました。

またキノは一つの国に滞在するのは3日までと決めています。居ついてしまうのが恐ろしいのと、居ついた場合は旅人では無くなってしまうという考えを持ちます。ただし、キノは一度だけある国に3日以上の滞在をしたいと考えたことがありますが…

 

 

そんなキノの旅ですが、本当に考えさせられる物語でリアル世界で理不尽に感じることを時雨沢先生が寓話としてキノの旅を通して怒りをぶつけている。言いたいとを発言していると思いますね。

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※人の痛みが分かる国で男性が育てていた花

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※男性の婚約者だった女性 家からは男性がレコードで掛けていた音楽が聞こえます。

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キノの旅

「世界はうつくしくない、それ故に美しい」というテーマが存在します。

キノの旅を観た方はテーマが持つ意味がきっと理解できるでしょう。

最新作のアニメも放送されるので、この機会に多くの方に

キノの旅」の素晴らしさを知ってもらいたいですね! 

 

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