キリンリキのしっぽのアレが考える

アンブレイカブル (2000)

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ⒸTouchstone Picures.

【タイトル】アンブレイカブル(2000年)

【監督】  M・ナイト・シャマラン

【関連ワード】

ヒーローの誕生 日常の延長 静かな演出 対極の存在 水 アメコミ

 

【あらすじ】

フィラデルフィアで数百人に及ぶ犠牲者を出した事故が3度起きた。

そのうちの一つ、131人もの乗員・乗客が死亡した列車の脱線事故で、ただ一人、奇跡的に生き残ったデヴィット(ブルース・ウィリス)は、事故をきっかけにアメリカンコミックのコレクターであるイライジャ(サミュエル・L・ジャクソン)と出会う。

 

人生で病気に掛かった経験が無い丈夫なデヴィット

少しの衝撃で骨折してしまう難病「骨形成不全症」を患うイライジャ。

2人の出会いによって、崩壊寸前の家族と、何かの違和感を感じながら生きてきたデヴィットの真実が浮かびあがる

 

 

【感想】※ネタバレあり

本作の特徴として、人生でプールに溺れた以外は病気・怪我なく生きてきた主人公と、生まれながら骨形成不全症を患うイライジャという、対照的な2人を中心に物語が展開される。

家族との関係性が崩壊寸前で苦しむデヴィットが、イライジャとの出会いによって、悪を倒すヒーローとして自覚する。家族との絆が修復するまでが丁寧に描かれています。

  

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※列車の脱線事故でたった一人助かる主人公

 

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※生まれた時から難病「骨形成不全症」に苦しむイライジャ

彼はアメリカンコミックのコレクターとして有名で、列車事故で唯一、生き残った主人公に強い興味を抱きます。

 

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デヴィットはアメフト会場にて警備員の仕事をしています。

何万と存在する仕事から、主人公は何故警備員の仕事を選んだのか…。

イライジャが問いかけますが、デヴィットには言葉では表現することが難しいある能力を持っている。

それは不審者を雰囲気で察知したり、悪を働く人物を見抜く力です。

 

生まれてから病気に掛からず健康に過ごす主人公ですが、最愛であるはずの妻・息子との絆や関係性は崩壊寸前。

健康なはずなのに違和感を覚えながら生きてきた主人公。

そんな人物がヒーローとしての能力を自覚した時、物語は大きな動きを見せ始める

  

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※多くの人が行きかう場所で、様々な犯罪を犯す人間を察知する。

悪であるはずの犯罪者たちが普通の市民に見えるところも本作の特徴。

ヒーローを扱う他作品との大きな違いでもあります。

 

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暴漢に襲われた一家を助けにいくデヴィット

レインコートで正体が見えない姿が非常にカッコイイです

 

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暴漢は倒したが、監禁されていた少女を助けることはできませんでした。

その事実が大変リアルで、少女が倒れる姿をただ見ることしかできないデヴィットの後ろ姿から悲しみと事件の悲惨さが伝わってきます

 

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その後、

「悪い夢を見た」というデヴィットを「もう終わったのよ」と励ます妻

息子に事件の新聞を見せるシーンなど

家族の関係が再生されたことが示唆され、

シャマラン監督特有の『大きな事件によって、人物たちの関係性が修復される』というテーマが本作でもいかんなく表現されている。

 

デヴィットの悪が見える能力も、内面を描き出そうとするシャマラン監督の意思と、表面的なことしか映さずに、ただ正義として派手に戦うだけのアメコミ作品に対するアンチテーゼも感じました。

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この作品は世間で大変評価の低い作品です。

 

前作があの「シックスセンス」ですから、どんでん返しを期待した視聴者にとっては物足りないと感じるでしょう

確かにヒーロー物として観た場合、限りなく日常生活の延長線上を描いく物語によっても賛否が別れます。

 

アメコミがテーマですが、映像表現が非常に静かで薄暗いシーンも多い。

また登場人物のセリフも大変少ないし、ド派手な格闘シーンや強靭な敵も一切登場しません。

対極に位置するイライジャ自体がミスターガラスと呼ばれるほど、ちょっとの衝撃で骨折してしまう骨形成不全症を患っていますしね。

 

自分の人生の役割を理解するまでが描かれた作品だと思うし、ヒーロー誕生を描いた第0話のような映画だと感じています

ジェームズ・ニュートン・ハワードの音楽も素晴らしく、シャマラン監督の音楽の使い方はもっと評価されてほしいし、ヒューマンドラマとしても成り立つ作品ではないでしょうか

 だからヒーロー映画として観れば異質な作品かもしれませんね

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ラストにイライジャが語る

「自分の居場所が分からないことが最大の恐怖」というセリフが心に残っています。

彼も生まれた時から難病でずっと苦しんできた。だからヒーローで対極の位置に存在するデヴィットを見つけたことが、彼の生きる希望だったのでしょう。

 

最後に満足そうに笑顔を浮かべるイライジャの表情が忘れられません

 

シャマラン監督には

またこのような映画を撮ってほしいですね