キリンリキのしっぽのアレが考える

セラフィムコール (1999) #7 柊彩乃<私>という逆説

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© 七瀬葵メディアワークスサンライズバンプレスト三菱商事

【タイトル】セラフィムコール 第7話 〈私〉というパラドックス

【監督】望月智充

【脚本】村井さだゆき

【CAST】

柊彩乃…鶴野恭子

ローゼンクランツ博士…依田英助 など

 

セラフィムコール

1999年に電撃G'sマガジンなど、メディアワークス系雑誌の読者参加型企画から生まれたアニメ作品。

後の読者参加企画から生まれたラブライブなので、セラフィムコールは年の離れたお姉さん的作品ではないでしょうか。

 

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作品の舞台となる近未来人工都市「横浜ネオ・アクロポリス

 

セラフィムコール横浜市に建造された「横浜ネオ・アクロポリス」と呼ばれる人工都市で生活する、年齢も性格もまるで違う11人の女性が主人公のオムニバス形式を採用。

 

主題歌から劇中BGM、演出までが一話ごとに変化します。

注目すべきは様々な実験的演出や物語の構成により、現在でも似たアニメが存在しない作品だと思います。

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※「佐々木ゆう子」さんが歌うOP「pray」は名曲。何度聴いてもすばらしいです!

 

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※作品のテーマである「2010年11少女物語」

 実験的な演出とストーリーには

◆固定カメラのように映し出された映像が実は…

小津安二郎監督を意識したカメラワークで家族を映し出す

◆終始、一人芝居を続けて舞台を思わせる映像表現

◆全く同じ話をカメラワークとちょっとした構図の違いで2話放送する

◆数学と仮想空間をテーマにした物語

◆最終回では登場人物が全員集合し…

 

など、多種多彩な手法で少女11人の物語を描いています。

 

涼宮ハルヒの憂鬱で良くも悪くも有名になった「エンドレスエイト」的な演出も、1999年にセラフィムコール

「村雨紫苑 夢の中の妹へ」

「村雨桜 愛の中の姉へ」

で表現されていて驚きますし、一つひとつの物語の質に関係なく、最終回ですべてが集約される構成も素敵でした。

 

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 セラフィムコールで何話が好き? と聞かれたら

第7話の【柊彩乃 <私>という逆説】と答えます

 

<私>という逆説は、数学と仮想空間をテーマにした作品で、ブログ主のように数学が苦手で数字も見たくないという人間にも心に残ることができる作品だと感じています。

 

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※<私>という逆説の主人公「柊彩乃」

 

 【あらすじ】

数学を志しながらも英語教師の道を選んだ彩乃。

亡き恩師ローゼンクライツ博士から彼女のもとに送られてきた本には、『この本には始まりがあるが終わりはない』と記されていた。

恩師の思い出と幼い頃の不可思議な記憶が交錯する中、不完全定理をめぐる彩乃の証明の行方は…。

※<私>という逆説 DVDに表記されたあらすじより引用

 

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 「円と同じ面積で正方形を作ることは出来ない」

柊彩乃は数学に関して天才的才能を持ちますが、恩師で円の正方形化を研究していたローゼンクライツ博士の死により仮想空間の存在と過去を含めた自分自身と向き合うことになります。

 

ちょっと難しい物語ですが、彩乃と博士が開かずの部屋にあった魔法陣を解いたことで、現実と過去を超越する仮想空間に入り込んでしまうのです。

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※仮想空間と繋がる魔法陣

 ローゼンクライツ博士は仮想空間内で、難解な数式を公式を理解していないのに簡単に解いていた少女と出会う

 

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 この少女は幼い頃の彩乃で、無限に広がる数学を人生に置き換えて構成された物語は、BGMと作品の淡い雰囲気もあってグッと来ました。

 

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※静かな演出と美術デザインも好きです。

 

 

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死んだ博士から届いた本

この本が仮想空間と現実世界を繋ぐトリガー?

 

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「この文はまちがっている」という文は正しいのか

を誰もが証明できないように、一人ひとりの思考回路が千差万別でも、皆が答えを出すことができない問題が存在すること

 

「その問題を解くことは不可能だと証明はできる」 など、

考えれば考えるほど頭が痛くなりますが、望月監督の特徴である静かで雑音に頼らない演出と、難解な作品特有の「カッコをつけて妙にスタイリッシュ」な雰囲気は一切感じませんでした。また数学に真剣に向き合った希少な作品だとおもいます。

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博士の数学に対する考えは

「数学が素晴らしいのは、誰か特別な人とだけ共有し合えるものではない」 

「誰とでも理解しあえる共通のもの」

 

など、人生に置き換えて数学を捉えています。

 

 人生は無限に続く数式の途中に現れた数字列にすぎず、

どんなにバカげた仕事でも無駄なことではなく、私という数式が私という存在を解き明かそうとする

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© 七瀬葵メディアワークスサンライズバンプレスト三菱商事

数学者は、私と言う計算を続けていくもの と博士が言うように、

どんなに難解で答えのない問題でも、私たちは自分自身を解き明かす作業を続けいくことで、いつか答えが出せるのかもしれませんね。

 

 

数学をテーマにした物語ですが、私はひとつのアニメーションとして好きな作品です。

セラフィムコールは全12話

一枚のDVDに一話づつ収録されているので、非常に場所を取る恐れがあるし、一枚に3話くらい収録してほしかった気持ちがありますw

 

リージョンコードにより視聴環境は狭まりますが、北米版DVDの方がディスクの入れ替えが少なく済むます

※ただし、リージョンコードで国内プレイヤーで視聴することが出来ません。リージョンフリーのパソコンで視聴することが可能です。

 

セラフィムコールにもし興味がある方は、登場人物11人のミニアルバムを含めて販売は終了していますから、中古品で購入することになるでしょう。

2018年1月現在、DVDなどは比較的安価で入手しやすいのは救いですが、アニメ動画配信サイトでもセラフィムコールが配信されておらず、視聴環境にはとことん恵まれていません。

 

『アニメ史に残る大傑作』に入らない作品ではあるものの、「過去にこんな実験的なアニメがあったのか…」程度の認識でも良いので、セラフィムコールに興味を持って頂ければ嬉しいです