キリンリキのしっぽのアレが考える

青い光が見えたから[16歳のフィンランド留学記] 著・高橋絵里香

 

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【タイトル】青い光が見えたから[16歳のフィンランド留学記]

【著者】  高橋絵里香

【帯文】  スナフキンに救われた はい虫のように

【関連ワード】

フィンランド 留学記 ムーミン 

 

 

 

 

 

【北欧の国 フィンランド

北欧の国「フィンランド」と聞くと

ムーミン

◆サンタクロース

◆雪

◆一家に必ずサウナがある

スキージャンプを始めとするウィンタースポーツの強豪国

◆エアギター選手権やサウナ我慢大会など、マニアックな行事が盛ん

シモ・ヘイへ

◆メタル音楽

 

などが思い浮かぶと思います。

 

実はその他にも

◇過去に大不況があった…

◇税金が滅茶苦茶高い…

◇英語の習得率が高い

◇教師が尊敬される職業

◇政治家の汚職率が極めて低い

◇男女平等が進む

◇個人を尊重する高い水準の教育システム

 

といった具合に、日本で賛否が起きた「ゆとり教育」に近い教育システムを導入し、生徒の個性を尊重する環境が構築されています。また、男女の意識に対する考え方も、日本のように「管理職は男性」といった意識や「レディースデイ」などは全く存在しないけど、極めて平等な社会らしい。

 

 あと、日本のアニメといったサブカル文化に非常に理解を示してくれる国の一つ。

ストライクウィッチーズに登場するエイラ・イルマタル・ユーティライネンのことでフィンランド大使館が反応してくれたり、様々な分野に触手を伸ばして、フィンランドを世界に知ってもらいたい心意気と何事もあるように認めてくれることが素晴らしいのです。なかなか出来ることではありませんよね。

 

もちろん、フィンランドが全て善良なわけではありません。

例えば他国でも問題となっている移民関連、過去に大きな不況があったりと、その国で辛いと感じることが必ずあるはずですよね。

 

ブログ主は北欧の国「フィンランド」に強い憧れといいますか…、日本を含めて他国に感じる「これはどうなの…」という宗教観やお国柄がフィンランドは極めて少ない印象なのです。

 

フィンランドを最初に意識したのは、1998年に行われた長野オリンピックスキージャンプ

岡部・斎藤・原田・船木の日の丸飛行隊は記憶に新しですよね。特に船木はラージヒルと団体で金メダルを獲得しました。

 

船木選手が唯一ノーマルヒルで金メダルを逃しましたが、その時金メダルを獲得したのはフィンランド代表の「ヤニ・ソイニネン」選手だったわけです。

幼いながら、「フィンランドって凄い国なんだな」と思いましたし、その後に荻上直子監督の「かもめ食堂」と、カウリスマキ監督の「過去のない男」で一気にフィンランドが大好きになりました。

 

またある時、テレビの旅番組でフィンランドを訪れた方がバスに乗り込みました。バスで一緒になった若いフィンランド人カップルにインタビューをした時、「親御さんには挨拶したの?」とフィンランド人カップルに質問すると、「どうして自分たちの問題なのに、親の了承を得ないといけないの?」と爽やかに答えていました。

 

その言葉を聞いた瞬間に身体に電流が走った記憶があり、フィンランドってもしかしたら、自分を大切にすることや他人による「強制」が少ない素晴らしい国なのではないかと考えたのです。

 

 

【感想】

著者の高橋絵里香さんが2000年にフィンランドのロヴァニエミにあるリュセオンプイストという高校に留学をして、日本の閉鎖的な教育とは違い自由で個性を尊重するフィンランド教育に驚愕しつつ、自分自身の生き方を見直していき元気を取り戻していきます。

 

高橋さんがフィンランドに興味を持ったのはムーミンで、中学を卒業後に絶対にフィンランドへ行きたいと決意した経緯と、日本の中学教育における理不尽な暴力や指導方法に疑問を感じたことも挙げられます。

 

ある日、中学時代に高橋さんの友人が忘れ物をしてしまって、教師に頭を叩かれた出来事がありました。その行為を笑って受けた友人と何も言えなかった自分への後悔がある。また、中学特有の厳しい規律や教師の教育姿勢に納得ができず、それを教師に問いただしても良い解答は選られなかった出来事がフィンランドへの留学を強く決意させたキッカケだったそうで。

 

ブログ主も高橋さんのように中学時代は「逃げ出したい…」と毎日ように感じていました。小さな町の公立中学でしたがとにかく規律が厳しくて軍隊のような学校でした。髪の毛の長さや服装はもちろん、清掃の時間に話していたクラスがあるともう一度清掃をやり直しがあったり、毎週月曜日は全校集会が必ずあって校歌を歌わされました。歌声が小さいと怒鳴られて最初からやり直し。列が少しでも乱れているとまた怒号。これは全てゆとり教育全盛、平成時代の出来事です。連帯責任は当たり前、教師が生徒を殴ったのを何十回と見せつけられてトラウマになっています。

私のクラスの担任は体育大学出身で、毎年秋に開催される学祭ではクラス総出で「えーっさーっさ」という謎のダンスと掛け声を披露しなければならず、その時から私の中で体育会系は地に落ちて滅ぶべき存在であると考えるようになってしまった。

 

ぐだぐだ私事を述べてきましたが、高橋さんも中学時代に精神を病んでしまったり、理不尽な教育に嫌気が指していた

フィンランドの留学は簡単なことではなく、言葉の壁や留学先の手配が大変そうでした。中学の教師たちも「どうして遠いフィンランドなんかに留学するんだ?」と奇異の目で見られたりと、様々な苦労をしてきました。

 

しかし、フィンランドのホストファミリー探しに尽力してくれたライヤさんや、ホストファミリーのウリニヴァ家、そして高橋さんの留学を快諾してくれたリュセオンプイスト高校の校長先生との出会いが高橋さんの生き筋を変えてくれたと思います。

 

校長先生が高橋さんの父親に言った

「私が許可すれば入学できるのです。そして私は娘さんの入学を認めます。」

 という言葉に読者の私も肩の荷がスッと降りて感動しました。

 

高校では必死に勉強を頑張る高橋さん。それを協力したり一緒に行動してくれた友達たちは皆が素敵でした。

高橋さんが何かを失敗して直ぐに謝る様を見て周囲の人物たちが

「謝らなくても良いんだよ!」とフォローする姿に涙を禁じ得ない…

 

日本の中学時代はあやまることが日常茶飯事だったのに、それがフィンランドでは必要がなかったのです。

 

フィンランドのテストは日本に多い「暗記をすれば点が取れる」方式ではありません。

例えば、「問題に対してあなたが考える解答を3つ自由に述べよ」など、自分で考えた言葉ではないと点数が貰えないのです。また英語の文法問題でも数百文字程度の作文を制作しなければならず、本気で物事を理解していないと解けない問題が多い。

 

またフィンランドと日本では教育に関わる教師の質も違います。

フィンランドの教師は絶対に生徒へ暴力を振るわず、教師は尊敬される職業の一つなのです。

ある時、高橋さんは自分が経験した日本時代の教師について友人と話します。

「生徒に暴力を振るう先生もいた」

その発言を聞いた友人たちは一様に大爆笑です

高橋さんは友人たちに理由を聞くと、

「生徒が教師に手を出すことはあるかもしれないけど、教師が生徒に暴力を振るうことは絶対にない」とのこと。

 

 

別の著書になってしまいますが、

「格差をなくせば子どもの学力は伸びる」<驚きのフィンランド教育>福田誠治著

 

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この著書で驚愕した話が一つあって、

著者の方はフィンランドの小学校に見学に行き、そこで授業中に編み物をする少年に出会います。

先生は軽く注意はしますが、少年は編み物を辞める気配がありません。日本だったら怒鳴られたり場合によって暴力的な指導がされるかもしれません。

私もヒヤヒヤしながら読みましたが、結局少年は編み物をしつつ授業で出された課題をやり終えていました。

 

 

またまた別の著者になりますが、

フィンランド流 社長も社員も6時に帰る仕事術」田中健彦著

 

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富士通コンピューターズ・ヨーロッパ副社長の著者が、フィンランドで働いた時に感じたフィンランド人の仕事観に驚かされた話

 

日本人リーダーが敢行した意味のない会議に出席したフィンランド人が、終始パソコンで自分の作業をしていた時、日本人幹部がそのフィンランド人を叱咤します。

しかし、「出席しろと言われたのですが、私の出番は殆どありません。時間がもったいないから自分の作業をしていました。」 

 「それは不真面目ではないか」と日本人幹部がさらに叱咤すると

「日本人のお偉いさんは会議中に居眠りをしてますよ。私は会社のために仕事をしているんです」

と論破されることがあったそうな…

 

 

この3つの本で起きた出来事は、全てフィンランドの教育によるものだと思いますし、教師が生徒に決して手を出さないわけが何となく分かった気がします。

 

高橋さんが感じていた日本とフィンランドの教育の違いは、物事をよく考えることはもちろん、個人に合わせた学習内容を展開できる能力が教師になる必須能力であるからだと思う。

 

そんなフィンランドで過ごす中で、高橋さんにも変化が起きていました。

著書の中で一年ごとのクラスメイトとの集合写真では、髪の色を含めて表情が柔らかく笑顔になっていくのです。

また、後ろ向きな気持ちだったのに「じゃがいも」というバンドを組んで学校で音楽を披露したりと行動が活発になっていきます。

 

最終的にはフィンランドの大学に進学する高橋さんですが、本著はただの留学記ではなく、上で述べて来た人が生きるうえで大切な教育、個性を活かすためにはどうすれば良いかなど、日本がフィンランドを見習わなくてはいけないことが山ほど存在するわけです。

 

全体的に綺麗な文章で書かれているので非常に読みやすく、外国への留学記として名著に当たる著書であることは間違いありません。またムーミンに登場する はい虫がスナフキンによって自分自身を見出すことが出来たプロセスが、高橋さんの留学記と重なります。

 

オススメです!