キリンリキのしっぽのアレが考える

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鳥 (1963)

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引用 2017/5/8放送 BSプレミアム 「鳥」より

 

【タイトル】The Birds 「鳥」

【監督】アルフレッド・ヒッチコック

【原作】ダフネ・デュ・モーリア

 

【関連ワード】

鳥 理由が分からない恐怖 BGM無し 

 

 

※ネタバレあり

 

 

【感想】

ヒッチコック映画として、動物パニックのパイオニアとしても大変有名な作品。

気になる男性に会うためカルフォルニアまで訪れたメラニーに、一羽のかもめが襲い掛かり、次第に鳥たちが人間に対して無差別に危害を加えていきます。

 

本作はメラニーやナイスガイでメラニーを惹き寄せたミッチ、ミッチの母親で子離れが出来ないリディア、ミッチの元彼女で教師をしているアニーなど、一人の男性を取り巻く女性たちの表には出さないドンパチも描かれています。

しかしながら、ミッチに対するメラニーの欲望、そんな彼女をよく思わない母親リディアといった人間関係は正直あまり面白いとは思えませんでしたし、理不尽にメラニーが鳥に攻撃されるのは、男性を思いのままにたぶらかそうとする女性(ラニ)を痛めつけるためである…と、ヒッチコック監督のしてやったり顔が浮かんでしまう。

だけど痴情のもつれ、鳥が攻めてきたのはメラニーが原因ではないのかなど、答えのない問題を視聴者に問いかけるような魅せ方は見事ですね。

 

私が本作で最も注目した点は、理由もなく人間を襲う鳥についてです。

一応、原作では少しだけ原因が示唆されていますが、映画では一切理由が分からないのです。

鳥たちに目を向けると、自分の身体がボロボロで血だらけになってもガラスを突き破ろうとする。まるで自身の命を省みず、人間へ捨て身の攻撃をしているように見えます。

人間と鳥は当たり前ですが言葉が通じませんし、まして鳥たちは捨て身で人間を襲っているので非常に恐ろしく、有効な対策が見つかならいことも恐怖を感じます。

 

ホラー映画なんかでも「詳細を見せない恐怖」が描かれた作品が存在します。

例えば、イケメンボイスで襲ってくる怪物よりも、無言でどこまでも追いかけている怪物のほうが何倍も恐ろしい

また、理由もなく怪奇現象が起きれば途方にくれます。サスペンスでも理由もなく人間をあやめる犯人は恐ろしいですよね。

 

本作も詳細が一切語られないことによって、ただの動物パニック・サスペンス映画になっていないと思います。

酒場でアマチュアの鳥類学者が「地球上に何億と存在するすべての鳥が人間を襲うようになったら…」と発言しますが、「もしもの恐怖・想像するとゾッとする恐怖」も上手に描かれているのです。実は鳥が人間を理由なく襲う珍しさのほかに、何かの恐怖に対する描き方の新しさも、鳥(1963)が多くの作家や著名人に影響を与え続けている理由なのかもしれません。

 

実際に鳥と戦うわけではなく家に閉じこもる展開も素晴らしい。

外の様子がラジオでしか分からない状況が恐怖で、静かな演出やBGMが一切無いことも、話の強弱が分かりづらく鳥がいつ襲ってくるかドキドキしてしまう。

 

ラスト、ミッチたちが家から脱出する際、襲い掛からずじっとする鳥たちで外を覆いつくすシーンは映画史に残る名シーンだと思いました。