キリンリキのしっぽのアレが考える

イーグルジャンプ (2016)

 

 【タイトル】イーグルジャンプ

【監督】デクスター・フレッチャ

 

【関連ワード】

マイケル・エドワーズ スキージャンプ カルガリー五輪 マッチ・ニッカネン 実話

 

 

【あらすじ】

エディは幼い頃から五輪に出場することを夢みていた。

しかし、左官職人として働く傍ら、近眼で運動があまり得意ではないエディはスキーの選手選考で外されてしまう。目的を見失ったエディは偶然部屋に飾ってあったポスターからスキージャンプの選手として五輪に出場しようとする

 

弾丸でドイツのスキージャンプ強化合宿所に出向くが、まったくの初心者であるエディを馬鹿にする人間がほとんど。

そんなおり、元天才ジャンパーで今は落ちぶれた生活をするアメリカ人(ピアリー)と出会う。カルガリー五輪にどうしても出たいエディはピアリーにジャンプのコーチを頼むが…

 

 

 

【感想】

1988年に開催された冬季カルガリー五輪。

映画「クールランニング」でお馴染みのジャマイカボブスレーチームが話題となり、現在でも冬季五輪におけるボブスレー種目に参加し続けています。(平昌五輪では下町なんちゃら等、色々と大変だったみたいですが…)

 

そんな冬季とミスマッチなジャマイカが注目されましたが、スキージャンプでも「エディ・エドワーズ」というジャンプ競技とは無縁のイギリスから出場した選手が存在し驚愕させられました。

 

私は冬季五輪をはじめて体験したのは1998年の長野五輪

その時に原田さんなど「日の丸飛行隊」に日本中が熱狂したのを覚えています。今回感想を述べる本作のエディも、小さな航空輸送会社の資金提供を受けて長野五輪の出場を目指していたらしく驚かされます。

 

また、スキージャンプの歴史を見ると現在ではスキー板を大きく広げる「V字ジャンプ」が主流ですが、カルガリー五輪が開催された1988年はまだスキー板を揃えるクラシックスタイルのジャンパーが多かった歴史があります。

 

イーグルジャンプにおいて、主人公エディをはじめとするジャンプ描写がすべてV字ジャンプであり、史実とは異なる点からも納得の行かない視聴者が出てきてしまうことは否めません。

 

しかし、現在は全てのジャンパーがV字なので、撮影だからと無理にクラシックスタイルで飛べばケガをしてしまう恐れがあります。

ジャンプ撮影の際にはスタントマンにも断られたらしく、それだけ命が掛かる危険なスポーツであると言えるので飛び方は大目に見ましょうね。

引用 youtube Olympic より

鳥人〟と呼ばれ、本作にも登場するフィンランドのマッチ・ニッカネンカルガリー五輪でのジャンプ

 

この時代はスウェーデンの「ヤン・ボークレブ」 など、世界で数人しかV字ジャンプで飛んでおらず、92年のアルベールビル五輪からほとんどV字ジャンプに移行されたらしいです。スキー板の使い方だけでもこれだけ違いがあるのがおもしろい。

引用 youtube Olympic より

当時V字ジャンプをマスターした一人。フィンランド

「トニ・ニエミネン」。16歳で2つの金メダルを獲得しています。

 

だからスキージャンプに詳しい方が観ればV字ジャンプに違和感があるし、話の流れも少し雑に感じる場面も多かった印象。

映画特有の「困ったら誰かが救いの手を差し伸べてくれる」要素も豊富で、もうちょっとエディとピアリーの二人三脚の「努力」が見たかったですね。

 

普通は5~6歳で始めるスキージャンプを22歳から始めたエディ。

飛距離が低いジャンプ台から徐々に70m・90m台に移行する時の恐怖はリアルで、20ヶ月でプロ選手と同じジャンプ台で飛んだエディは凄いと思います。

 

父親や母親との関係も見ごたえがあり、左官職人として落ち着くよう促す父と、息子の夢を決してバカにせずに応援する優しい母。こちらももう少し掘り下げてほしかった要素でもありますね。

 

 

また〝鳥人〟と評され、スキージャンプにおける重要人物であるマッチ・ニッカネンの存在も本作では欠かせない。

エディとニッカネンジャンプ競技における「底辺と最上位」の人間であり、かみ合っていないようで実は考え方やジャンプ競技にかける思いは似ているのではないかと。

 

この作品ではジャンプ台のエレベーターでエディとニッカネンが会話するシーンが存在するのですが、選手が付けるナンバーと実力からも、ニッカネンの直ぐ後にエディは飛ぶことはありえるのかな?(当時のルールを把握できていませんが…)

 

だけどそんな映画的な魅せ方は好きですし、失敗や飛距離を伸ばせないことで注目されたエディと、自分のジャンプに納得できなければ金メダルでも喜べないと語るニッカネン。この関係性が非常に面白いですね。

 

 

エディ氏の登場でジャンプ競技における出場選手の規定が厳しいものへ変わりました。

実力は大切ですが、視聴者としては色々な選手が飛ぶほうが見応えがあるし、エディ氏のような選手を見てジャンプに興味を持つ人間だっているはずですよね。

もっと選手の間口を広げないとますます閉じコン化すると思うんだけどな…。

 

 

映画を観て何かを目指すのに年齢や国籍、経歴は全く関係ないこと。

最後まで諦めないことの大切さを感じられる作品ではないでしょうか。

 

 

もう少し見せ方を変えればタートルトーブ監督の「クールランニング」に匹敵する作品になったと想像できるだけに、いろいろと惜しい作品でもあります。

ただし、エディの優しい人柄と功績を知ることができたので、視聴した価値は大いあったと思いました!