キリンリキのしっぽのアレが考える

ガタカ (1997) GATTACA

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【タイトル】ガタカ

【監督】アンドリュー・ニコル 

【関連ワード】

遺伝子 差別 DNA操作 不適合者 宇宙 マイケル・ナイマン

 

 

【あらすじ】

優秀な遺伝子を持つ人間が優遇され、それ以外は差別される近未来。多くの人間がDNA操作によって子供を授かり生まれた時から優劣が決まる世界で、自然出産で生まれたビンセントは心臓病にかかる確率が99%、生まれつき近眼で体力も他人より劣るビンセントは遺伝子の不適合者として過ごすことになる。

優秀な弟の影に隠れながらも、宇宙飛行士へのあこがれを抱く。宇宙局「ガタカ」に入ろうとするも遺伝子によって夢は絶たれてしまい、ガタカの清掃員として働く日々が続く。

 

そんな折、優秀な遺伝子を持ちながらも期待どおりの人生を歩めなかった人間から遺伝子を提供してもらう過激な方法へ出たビンセントは、水泳選手で強靭な遺伝子を持つモローと出会う。

 

遺伝子を偽りガタカで生活するビンセント。持ち前の努力でようやく宇宙飛行士になることが出来たが…、局内で起きた殺人事件をきっかけに雲行きが怪しくなる…

 

 ※ネタバレあり

 

【感想】

ガタカの世界観として、肌の色や人種といった見た目ではなくて、人間が生まれ持つ遺伝子によって差別が起きる設定が斬新です。

至る場所で血液や唾液検査が用いられ、劣等遺伝子を持つ人間を選別します。だから子供を授かりたい親は遺伝子操作によって優秀な子供を授かろうとするのです。

まず恋人ができればキスをした唇を綿棒で拭い、すぐ遺伝子鑑定をしてもらうなど、公共の場でDNA鑑定ができる施設が存在するようです。恐ろしいですね…

 

主人公のビンセントは両親による自然出産で生まれた子供ですが、生まれつき身体が弱く、生まれた直後から血液検査をされて心臓の病気にかかる確率が高いと医者に言われてしまう。それを聞いた父親は自分の名前を付けるのを辞めてビンセントと名付けます。ビンセントは生まれながらに親に愛されない、期待されない子供として生を受けたと感じますし、物語の核となる遺伝子による差別の残酷さが浮き彫りになります。

 

 

彼には宇宙飛行士になる夢がありますが、宇宙関係の仕事をするには優秀な遺伝子の人間しか入れないガタカに入社する必要がある。

どんなに体を鍛えても、どんなに必死に勉強しても、遺伝子によって不合格となってしまいます。

 

そこで、優秀な遺伝子を持つ人間でも失敗や挫折、なにかトラブルによって活動できない人間が、遺伝子を不適合者に提供する闇ルートを利用します。

そして元水泳選手で交通事故により車いす生活を送る「モロー」と出会う。

 

モローは自分の髪の毛、尿、血液のサンプルをビンセントに提供し、ビンセントはモローの生活費を工面する。

 本作はそんなビンセントとモロー、男性2人の友情。同じく遺伝子に問題がある女性アイリーンの存在など、人間関係も見ごたえがあります。

 

ひたむきに頑張るビンセントと、

「金メダルを取るために生まれてきたのに銀メダルどまりだ」と優秀な遺伝子によって苦しむモロー。

「運命までは遺伝子で決まらない」

まさに作品の特徴を表す言葉ですね。

 

 

遺伝子によって差別されますから、ビンセントは毎日のように身体に付いた垢を取って燃やす、産毛や唾液など、いつされるか分からないDNA検査に備える必要があります。

並大抵の努力ではやっていけませんし、ビンセントには宇宙飛行士になるという信念や決意がある。

考えてもみてください…。毎日身だしなみを整えるのも面倒だし大変です。さらには血液や尿、産毛の処理、抜き打ち検査のプレッシャー。普通の人間なら相当な決意がないと挫折してしまうでしょう。

 

遺伝子では決して図れない事柄が存在することを教えてくれる作品で、マイケル・ナイマンの音楽も素晴しかったです。

SF、遺伝子差別など未来的な作品ですが、車からなにやらレトロチックな小道具とシンプルな色彩によりSFとして賞味期限が長いであろう作品ではないでしょうか。

 

私は抜き打ち検査を行った医師の言葉、ビンセントの努力が報われて泣きそうな表情が忘れられませんね。

また、遺伝子を提供したモロー。

銀メダルが一瞬キラッと輝いて見えるシーンとがなんとも切ない。

 

 

傑作!!