キリンリキのしっぽのアレが考える

×××HOLiC 真夏ノ夜ノ夢 (2005)

【関連ワード】

コレクション コレクターのエゴ 屋敷 ミステリーハウス ホリック 

 

 

×××HOLiC

◆登場人物

四月一日君尋 (わたぬき きみひろ)

アヤカシを寄せてしまう体質で、異形の存在から解放されたい…、見えないようになりたい…。その願いを叶える対価として侑子さんの店でアルバイトをしている

 

百目鬼静 (どうめきしずか)

清らかな心を持ち、何かと四月一日に敵視されている悪いアヤカシたちを寄せ付けない体質

 

※九軒ひまわり(くのぎ ひまわり)

四月一日が好意を抱き続けているクラスメイト。

 

壱原侑子

「対価を払えば願いを叶える」という不思議な店の店主

 

 

偶然のように見える事柄は全てが必然。

願いを叶えるために店に来る客たちと、人間ではない異質な存在との関わり。寓話のような物語もホリックの特徴です。

 

 

※ネタバレあり

 

【感想】

「あの家に帰りたいんです」という不思議な女性が店に訪ねてくる場面から始まり、様々な物を収集するコレクターが集まる屋敷にやってきた四月一日一同。

 

まず、屋敷の外見が、ミステリー番組でも取り上げられる「ウィンチェスター・ミステリー・ハウス」に似ており、ブランコが静かに揺れる演出が怖かったですね

ウィンチェスター・ミステリー・ハウス - Wikipedia

 

屋敷の中は扉を開ければ壁があったり、全く別の通路へとつながるなど、フェイクルームのように仕掛けが満載

お手洗いに行くだけでも苦労し、四方が畳の部屋、見たことがない魚の生簀がある部屋、千と千尋に出て来そうな和室や通路、月をバックに田園風景が広がる空間など、

目的や用途は一切不明ですが、密室から広い空間、異世界や亜空間をイメージさせる部屋が非常にバラエティ豊かで見入ってしまった。

 

また、この映画では恐怖と好奇心を煽る演出が見事でした。

例えば、先が見えないほど長い障子張りの廊下で、廊下の先が真っ暗なので進むことが恐ろしいし、各部屋への移動はまるで狭い路地裏を探検していたら、見知らぬ空地を見つけたようなドキドキ感があるのです。

 

 

侑子さんたちはこの屋敷の主人に招待されましたが、その他にも数人招待された人間がいました。どうやら何かを収集するコレクターのようです。

 

「人の集めないものこそ価値がある」と言って、侑子たちを馬鹿にしますが、作品を通じて、何かを収集するコレクターのエゴを感じずにはいられませんでした。

 

 

コレクションについて語るコレクターを見て、人間の負の部分に敏感な体質の四月一日が気分を悪くしますが、「コレクターの妬み・意地・嫉妬が部屋に渦巻いている」と侑子さんが指摘します。

 

これは多くの方が身に詰まらされる話ではないでしょうか。

マニアックなコレクションを集めることが正義だとは限りませんし、それが本当に好きな物であっても、ルールや常識を破ってまで収集しようとする人も存在する。

また、情報量といった知識の有無で優劣を決めてしまうのが人間で、知らない人間に対して攻撃的になったり

 

他者と話すとき、好きな事柄について話題が出ると知識や情報の探り合いが始まってしまう。作品への愛が深すぎるがゆえの行動ですが良い気分ではないし、「作品が好きなのではなくて、自分の知識の有無に酔っている」「他者に自分の知識量を褒めてほしいのではないか」と絶望したことがありました。また、自分の勉強不足が悪いのですが、知らないことを親の仇かという位に罵倒されるのは悲しい気持ちになります

 

×××HOLiC夏ノ夜ノ夢では、普通の人が集めない物をコレクションするコレクターが登場しますが、

蝶の触覚、鉄条網、鎖、信号機、顔に見える石など、本当にマニアックな物ばかり。そのコレクションを見た四月一日はドン引きしますが、百目鬼が「この中じゃ、俺たちが異常なのかもな」と深いテーマを感じますね

 

結局この屋敷の主人は、欲にまみれたコレクターたちをオークションにかけて、コレクターの「ものに心を奪われた魂」をコレクションするとんでもない屋敷であったのですが、一番欲しいものを手に入れた時、コレクターたちはどんな行動に出るのか気になりました。

 

燃え尽き症候群になってしまうのか…、ただ集めたものをぼんやり眺めて生涯を終えるのか…

侑子さんたちのように、何も集めようとしない人間と、何かに執着して物に心を奪われることが幸せなのかを考えてしまいましたね。

 

 

部屋のデザイン、作品が持つ不思議で静かな雰囲気が大好きで、ブログ主はこの作品をキッカケに×××HOLiCにハマりました。ですから、×××HOLiCを全く知らない方でも楽しめるアニメ映画だと思います。