キリンリキのしっぽのアレが考える

クラフトワーク (著・デヴィッド・バックリー)

f:id:kiitosgirafarig:20180429125354j:plain

【タイトル】 クラフトワーク

【著者】   デヴィッド・バックリー

 

 

現代では〝電子音楽〟の存在をを当たり前に捉えて楽しんでいますよね。

クラフトワークは、ヒッピーがいた70年代初頭にドイツ(当時は西ドイツ)で誕生した音楽グループですが、70年代中盤から、スーツにネクタイ、短髪(テクノカット)、巨大な機械で音を奏でるスタイルでライブ演奏を行いました。

異質な音楽グループとして、電子音からも〝冷めている音楽〟と〝インチキだ〟と酷評された歴史もありますが、現在では伝説的なテクノグループとして〝テクノの神様〟や〝テクノ音楽のパイオニア〟と、世界中のアーティストたちから尊敬されいます。

 

(クラフトワークってどんな音楽を創って、どんな人たちだったの?)と、私もそうですけれど、当時をリアルタイムで知らない人間にとっては、メンバーの私生活を含めて謎の多いテクノミュージシャンなんですね。

 

この本を書いたデヴィッド・バックリー氏は、クラフトワークをリアルタイムで知らない若い世代で、その知らない世代から見た感覚と、実際にメンバーや関係者に細かくインタビューした情報をもとに、謎多きクラフトワークについて書かれていました。

 

まず、このスタイルは褒められるべきで、下の世代の目線で書かれた本作は、初めてクラフトワークにふれる方にも合う著作ではないかと。

だから〝クラフトワークに興味はあるけれど、どんなグループなのか分かんないや!〟という私のような人種でも非常に読み応えがありました。

 

f:id:kiitosgirafarig:20180429131438j:plain

クラフトワーク デヴィッド・バックリー 株式会社シンコーミュージック エンターテインメント 初版 P188~189

時代と共に演奏スタイルも変化。現在ではパソコンの前に立つ演奏スタイル。パソコンはVAIOを使用。

元メンバーであるカール・バルトス氏のまえがきから始まり、戦争を含めたイギリスやドイツの歴史や音楽史、〝メディア恐怖症〟と呼ばれるほど、他アーティストやメディアと関わろうとしなかったクラフトワークについて、詳細なインタビューをもと、時系列順に知らない世代にも配慮した構成。

 

カール・バルトス氏は、クラフトワークに関するインタビューを全て断っていた人物で、クラフトワークに在籍していた過去を黒歴史のように扱っていた人物。

しかし、バルトス氏は非常に好意的に本作へ協力してます。キャリアの中ではクラフトワークが大きな存在であったと噛みしめている雰囲気があった。

 

私はカール・バルトス氏のソロも好き。ソロを聴いていると、ときどきクラフトワークを感じる楽曲があって、リスペクトも感じます。

〝Without A Trace Of Emotion〟なんかは、クラフトワークと、所属当時の自分を振り返って〝あの時は色々あったけど、今では良い思い出!〟という気持ちが表れていて、ほっこりしてしまいました(*^ー^*)

Karl Bartos: Without A Trace Of Emotion -- The Film (official) - YouTube

 

 

クラフトワークは誰にもこびず、自分たちの音楽を貫くグループだったようですね。

ですから、ライブも自分たちで準備して行う。自分たちのスタイルを貫くからオリジナルティ溢れる創作ができたのかなと思いました。

マイケルジャクソンの依頼さえ断ったと聞き、非常に驚いたと同時に、音楽に対する真剣な姿勢も感じて私は好感が持てました。

 

メンバーの人間性も淡々と描かれ、ライブ中は終始 無表情、まるで〝機械のような人〟という印象があったフローリアン氏の家族構成など、プライベートまでが赤裸々に綴ってあり、中にはメンバーの女性関係も書かれている。

 

プロモーション写真を撮るために実際の原子力発電所に出向くといった面白いエピソードも多かったです。

また、リーダーであるラルフがクラフトワークを〝男性的ではなくて中性的な方だ〟と言っていたのは興味深く、国籍や人種関係なく音楽を創っていたのかな?と想像しました。確かクラフトワークは、日本など外国で自分たちの音楽が受けるのをうれしく思うと何処かで読んだ気がするのですが、それは本作を読んで確信に変わった感じです。

 

日本を代表するテクノバント〝YMO〟についても触れられていました。

坂本龍一氏を中心に、やはりクラフトワークに影響されたことが綴られていて、改めて凄いグループだったと思います。

 

 

 

クラフトワーク

高速道路を走って、ラジオを聴いて、放射能を感じて、列車に乗って、ロボットになって、パソコンを操作して、電話をして、自転車に乗った凄い人たち

と思っていて、時代を先取りした要素もテンコ盛り

 

1995年にサービスが開始された世界初の出会い系サイト〝Match.com〟

インターネットを介して出会いを求まる動きが当たり前になっている世の中ですが、クラフトワークは1981年に発表した〝Computer Love〟で機械を通じた出会いをすでに表現しています。

Computer Loveは本作最後でオススメ楽曲のトップを飾っていますが、私もクラフトワークの中でもっとも好きな曲です。どこか切ないメロディーに乗せて、排他的なネットの出会いを予見したような素晴らしい曲なのです。

そのような時代の先取りも色々と記載されており、改めて凄すぎる、まさにテクノの神様であったと頭が下がりました。

 

 

本作の最後には、現在までに発表された楽曲とアートワークが一覧に纏められています。モノクロですが、曲名も索引できるので便利です!

 

どのように音楽と向き合い、どのように独自の音楽を創ったのか。

また、クラフトワークって〝テクノの神様〟と呼ばれているけど、どんなグループなのか知らない方にもオススメの本となります。