キリンリキのしっぽのアレが考える

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レナードの朝 (1990)

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左がレナード 右がドクターのセイヤー

 

 

【タイトル】 レナードの朝

【監督】       ペニー・マーシャル

 

※ネタバレあり

 

【感想】

本作は1920年代に流行した睡眠性脳炎〝謎の眠り病〟により、意識があるものの話すことや身動きが取れない人間が、パーキンソン病に用いられる新薬を投与したところ、奇跡的に発病前の状態にまで回復した実話をもとにした作品です。

 

幼いころから眠り病になっていたロバートデニーロ演じるレナードが、ロビンウィリアムズ演じる新米ドクター・セイヤーの提案によって投与された薬により、約30年ぶりに意識を取り戻す。

新薬での回復をきっかけに、眠り病である15名の患者が意識を取り戻していきますが、本作はただ闇雲に意識を取り戻すだけの映画ではなく、その後、時代が進み心の成長や精神的な部分における患者たちの葛藤と、気弱なドクターセイヤーが、そんな患者たちとの交流を経て、レナードとの友情や生きるうけで大切な事柄に気づいていく物語…だと思います。

 

レナードの見た目は中年ですが心は幼いころのまま。子供なんですね。

最初は意識が戻ったことを喜びますが、鏡で自分の顔を見て絶望してしまう。

セイヤーに連れられて30年ぶりに外に出ますが、自分の通っていた学校、目まぐるしく発展した街をみて幸せそう。しかし、許可がなければ自由に出歩くことができず、自由に出歩ける許可を出してもらうため何度も病院に意見しますが、認められずフラストレーションがたまってしまう。

 

意識を取り戻した患者たちもレナードと同じように悩みますが、今を全力で楽しもうとしたり、連絡が取れなかった息子から手紙が届いたりと、決して絶望だけが映されているわけではありません。

ただ、レナードの心の成長の部分が速すぎて、今まで必死に看病してきた母親に対して反抗期のように反発してしまう。また、そんなレナードを大切に思いすぎて依存する母親を描いたことも非常にリアルでした。

 

 

後にレナードは痙攣を起こし体が硬直するようになる。意識がなくなり眠り病が再発していきます。

自分の意志とは関係なく痙攣が起きるため、レナードのストレスは爆発寸前です。そして隔離病棟の患者たちと一緒に過激な政治家のような行動もとってしまいます。

 

しかしセイヤーはレナードを最後まで見捨てずに寄り添います。おかげで皆のもとへレアードは戻ることができますが、症状は酷くなるばかりです。

話をしていても突然発作のような痙攣が起きるため、後世のため痙攣が起これば「僕を撮影して!」と叫び、レナードは自分自身を実験体にするようセイヤーに頼みます。とてもじゃないが、強い決意がないと出来ない行動ですよね。

 

レナードは、同じ眠り病を患う父親の見舞いにくるポーラという女性が好きになります。

 

本作で素晴らしいと感じたシーンはたくさんありますが、その中でも病棟の食堂でポーラとレナードが静かにダンスを踊るシーンが素敵です。

痙攣が止まらず彼女に対しても「これで会うのは最後」というレアード。そんなレアードの去り際にポーラがレアードの手を取ってダンスを踊るシーンがあります。

 

そのシーンでは同じ眠り病で意識を取り戻した患者たちが、優しい眼差しでポーラとレナードを見つめている。

屈指の名シーンだと思います。

結局レナードと、共に意識を取り戻した患者たちは全員元の眠り病に戻ってしまう。

ただ、患者たちと過ごした掛け替えのない日々によって、気弱なドクターセイヤーにも良い変化が生まれます。

 

女性に対して奥手で、同じ病棟で働く看護師エレノアの好意からも逃げてしまうセイヤー。

映画の最後に口下手ながらも勇気を振り絞って「コーヒーでも一緒に…」とエレノアを誘うシーンからも、人間の尊厳・愛情・友情を描いた名作であることが伝わりました。