キリンリキのしっぽのアレが考える

夕焼けロケットペンシル

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【タイトル】 夕焼けロケットペンシル

【作者】 あさの ゆきこ

【連載誌】 月刊コミックフラッパー ※連載終了

【巻数】 全3巻

 

 

【あらすじ】

父親が引きこもり、母親が不在の中、小学6年生の「サトミ」は小さな文房具店を一人で切り盛りしている。

トーンを買いに来る売れない漫画家や元気いっぱいの大学生のお姉さん、何かとサトミを心配してくれる同級生のエビス君。

客足は少ないけれど、お店を必要としてくれる人がいる。

家庭環境やサトミの淡い恋心。一般的・マニアック問わず多彩な文具たちで綴るヒューマンドラマ。

 

 

【感想】

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夕焼けロケットペンシル 1 あさの ゆきこ 株式会社メディアファクトリー 

BookLive! 2012/1/31 電子書籍版 P4

下町に佇む小さな文房具店「丸田町文具」を舞台に、長く母親が家に帰らず、父親も引きこもり状態により、たった一人で店を切り盛りするサトミ。

 

サトミが肌身離さず身に着けているロケットペンシル(本当の名称は〝さしかえ色鉛筆〟というらしい)を含めて、昔懐かしいマニアックな文房具の描写も多いことです。

あとがきで著者の方による文房具紹介も掲載されていますから、文房具をこよなく愛する方を惹き寄せる作品ではないでしょうか。

 

そのように本作の大きなテーマは文房具ですが、小学6年生の主人公サトミを中心とする人間模様も丁寧に描かれており、売れない漫画家で店にトーンをよく買いにくる「慎也」に抱く恋心や、卸取引など小売店を商うために必要なシーンも描かれています。

 

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夕焼けロケットペンシル 2 あさの ゆきこ 株式会社メディアファクトリー 

BookLive! 2012/1/31 電子書籍版 P2~3

※眼鏡を掛けているのが卸業者の大村さん

 

下町風情で人間関係には人情を感じる作風。

一人で店番を頑張るサトミを応援してくれる人が殆どで、厳しい言葉を掛けた卸業者の大村さんも、そんなサトミと丸田町文具店を心配してくれます。

 

店は父親の影響からマニアックな文房具が多く、それらを目当てに店に足を運んでくれるお客さんもいる。必要としてくれる人間がいることからも、辞める選択肢を跳ね除けてまで文具店を続けるサトミ。またサトミの母親がいつ帰ってきてもおかしくないようサトミは一生懸命に切り盛りする。

 

その健気な姿が素敵で、人と人 の関係性が濃密に描かれることからも本作はヒューマンドラマだと思います。巻数が進むと父親の意識や母親との関係に変化が訪れ、丸田町文具は売上を伸ばすために奮闘していきます。

 

しかし…、これはヒューマンドラマ、人情などを描く漫画作品に慣れていないだけと思うのですが、サトミと慎也、慎也と大学生の盟子の関係が、唐突に思えてしまったシーンがありました。その影響からか、少しだけ盟子が気の毒に映ってしまいました…。

 

また、〝文房具〟をテーマにする作品ですが、人情というよりはサトミの家族関係、サトミの恋心、その他にも深く人間関係面を描いています。

ですから、ただ文房具だけを目当てに本作を読むと、深い人間関係の描写に驚くかもしれません。

3巻だけで終わらせるもは勿体ないと感じ、もう少しだけサトミと慎也、盟子たちの日常を読んでみたかったですね。

 

 

「夕焼けロケットペンシル」は、人間関係の描写によって好き嫌いが分かれることが予想されますが、それらを含めて名作であると思います。

 

全3巻で読みやすく、気になる方は是非~