キリンリキのしっぽのアレが考える

電車男 (2005)

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【タイトル】 電車男

【監督】 村上正典

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/電車男#映画

 

 

※ネタバレあり注意です。

 

 

【感想】

インターネットにおける掲示板、2チャンネル(現5ちゃん)の毒男板に、実際に書き込まれたスレが発展し、映画やドラマ化も果たした作品。

本作をきっかけに、オタク文化が一般の方たちにも大々的に注目された経緯があり、偏見の目で見られていた環境を少しだけマシになったのかもしれません。しかし、この映画のヒットにより、様々な人種が一度に界隈に入って来たため、「居心地がよい環境が壊れてしまった」という意見もあります。

 

しかし私は本作を大いに評価したいです。

冴えない毒男が電車内で酔っ払いに絡まれた女性(エルメス)を助けたことから発展するラブストーリーは、電車男を演じる山田孝之エルメスたん役の中谷美紀による好演が光るし、ドラマや多くのアニメのBGMを担当した服部隆之さんの音楽も大変素晴らしい。

 

そして、通常ならコテコテのオタクコンテンツをただ垂れ流すだけの作品になる怖れがあった本作が、光の演出やカーテンが優しくなびくような気品のある映像表現で、とても綺麗なラブストーリーに仕上がっているのです。

その綺麗さも、オタク文化に偏見を持つ方々を納得させた要素の一つかもしれません。

 

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エルメスたん と 電車男

 

光の演出というのは、例えばエルメスたんが電車に駆けこんできた時、電車内の蛍光灯によってエルメスたんが神々しく見える。

スレ民で、電車男の動向を皮肉交じりに見守っていた瑛太演じる引きこもりが、勇気を振り絞って部屋のドアを開けるシーンなど、希望を感じさせる優しい光が演出されていると思います。

 

掲示板への書き込みにより、主人公である電車男が必死に努力する姿もすばらしい。

スレ住民たちから「床屋はダメだ。美容院にいけ!」と言われて髪を切りにいったり、エルメスたんとの食事のために、オタクにとって場違いな洋服店やオシャレなレストランに下見に行く。

普通の人なら日常的にこなせることでも、電車男にとっては未知数。だけど失敗を繰り返しながらもエルメスたんのために頑張るんだな~。その努力があるから、応援したくなる。

 

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本作は電車男エルメスたんのラブロマンスも素敵なのですが、私はスレ住民たち、特に瑛太氏が演じる引きこもりにグッと来てしまうんです。

 

主に4組の住人たちが登場します。

・彼氏と失恋した看護婦

・仲が上手くいかない夫婦

・引きこもりの青年

電車男と同じオタク気味の3人組み

 

そりゃリアルな住人と比べたら「そんな人は2ちゃんには居ない!」と言われて仕方がないのですが、物語を盛り上げるトリガーとして、そして電車男を通じて住人たちの意識が変化していく描写が面白いのです.

 

終盤でエルメスたんのことで落ち込む電車男が、夢のような暗闇の中に存在する駅のプラットフォームにて、線路を挟んで住人たちと会話をするシーン。

 

「もうだめだ…、もう辛い…」と弱音を吐く電車に対して、

「これまで色んな奇跡、起こしてきたじゃねーか!」「あきらめんな電車!」と必死に励ますシーンも好きですね。

 

あれだけ電車男の行動に皮肉っていた引きこもりの青年が

エルメスたん行きのチケットはJTBじゃ売ってくれないんだぞ!!」と叫ぶシーンは不覚にも笑ってしまったけど、私も「そのとおりだ!」となりましたw

 

このように、ネット掲示板がテーマながらも、実際の人物を夢のような場所で対話させるのは、禁じ手であると思うけど、本作では演出として成功していると思いたいです。

 

 

住人たちが電車男エルメスを見守り、最後は自分たちがトラウマを克服し、前に進んでいく兆しを見せる。

あのゆっくり飛んでいく紙飛行機。引きこもりの青年が乗るバスが、満開の桜の下を走り去るシーン。どれをとっても美しく、なかなかに見事なシーンなのです。

 

 

電車男は、一つの流行ものの作品で、もう恐らく「視聴してみたい」という賞味期限が過ぎている作品でしょう。

しかし、映像表現や音楽の素敵さ、オタク文化も違和感がなく表現されている気もします。

それはエンドクレジットの美術協力に記載された企業をみれば分かるし、レンタルビデオ店にて、当時流行っていたスキージャンプペアが映ったりと、結構に懐かしいですw しっかりオタクコンテンツが嘘なく映し出されている、ということで、それだけでも共感が持てます。

 

最後の夢を連想させる展開も良かったです。

嘘か真実かは分からない2ちゃんねるのスレ、しかし、そのスレで多くの住人が感動し、映画やドラマにもなった事実。

 

それらをうまく表現できた結末だったのかな、と思います。(^ー^) ノシ