キリンリキのしっぽのアレが考える

恋ときどき

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【タイトル】 恋ときどき

【作者】 双見 酔

 

【感想】

「恋ときどき」は、学生を中心とした甘酸っぱい恋の始まりを、登場人物たちの繊細な心情と共に描かれています。

「好き」という行為の始まりと、好意を抱く相手を思う切ない気持ちは、他作品でも表現される要素です。しかし、本作は双見先生が過去に描いた同人誌から、物語の抜粋が多く手作りの温かさがある。

だから良い方向で商業誌特有の〝きっかり・しっかり〟していないことが、登場人物たちの心情をより引き出せていると思うのです。

 

そんな淡い恋の始まりが描かれていますから、次のページをめくるのが恥ずかしくなってしまう。その気恥ずかしさを感じさせてくれるから、本作は名作であると私は考えています。

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※好きになる過程や出会い、気になる相手と面識がなくて話たくても勇気が持てない学生、男女の友情は成立するのか? など…。7つの物語が収録されています

 

双見先生の作品は、 一つのシーンをとっても非常に静かといいますか。

基本的に人物の心の声、自問自答を中心に物語が構成されるイメージがあります。

この表現方法は、一歩間違うとワザとらしく映ってしまい、一人で盛り上がって終わり、という、セリフに頼りすぎて読者が置いてけぼりになってしまう感覚があるのです。

 

ですが、双見先生は「恋ときどき」も含めて、人物のセリフが一切ないコマも多い。

暗闇を歩く悩みを抱える人物を明るく照らす街灯や、表情のアップ→何かに気づいて目を閉じる→走り出す…。

そのように、一つひとつのコマ表現と人物の表情が大変豊かで、上辺だけではない心情が伝わってくるのです。

 

各物語で感じさせられる純粋で真っ直ぐな思いは、やはりこちらまで顔が真っ赤になるほど。

その部分にも、私が年齢を重ねて素直じゃなくなってしまったこと。純粋な気持ちを忘れた人間に成り果てたと思ってしまった。

 

本作に登場する優しいキャラクターたちのように、また、相手の気持ちを理解しようとすること。純粋な気持ちになれる日が、いつか来ると良いな~

 

 

双見先生の作品は好きな作品が多いです。

「恋ときどき」同様に、同人誌で掲載された話を集めて「すき もよい」

 

無職の主人公が働くことに対して悩む

「空の下屋根の中」もオススメです。